きみといつまでもいたい


「そうだな、そこが君の戻る場所なんだな」


「僕が今、こうして生きているのは、僕の心の中にミルクの住む場所があるからです。

それは幻想かもしれないし、欺瞞かもしれない。

今の彼女はそこ住まうことを望んでいないかもしれない。

でもやっぱりここにミルクはいるんです」


そう言って、聖夜は自分の胸に握った拳をしっかりと押し当てた。


「そうだな、君はそれを確かめに行くんだな」


この数年間、彼はカウンセリングを受ける傍ら、レイプ被害者の心のケアについてジャックについて学んでいた。

彼女達の抱える心の闇とトラウマ。

それを克服する為の行動療法。

聖夜は美留久を彼の心に住まわす為に、彼女の苦しみを理解することを敢えて選んだのだ。
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