きみといつまでもいたい
すでに二人の両親は他界していたが、大樹のたった一人の弟、樹が一人日本で暮らしていた。
どうせなら、樹の元で暮らしたい、二人がそう考えたのも尤もな話だ。
その頃、樹は学業を終え、理学療法士として働いていた。
海の見えるこの土地で。
樹の元に兄家族が戻ってくると知らせがあった頃、彼は丁度、スポーツトレーナーとしての経験を積むために、ある格闘家の道場に通っていた。
それが、美留久の父である一郷龍(イチゴウリュウ)である。
彼は、柔道とボクシングを極めた格闘家だった。
おまけに、その妻華(ハナ)は合気道の師範代。
彼のトレーナーとしての経験にはうってつけの場所だった。
息子二人もその後を次いで、立派な格闘家として名を馳せていた。
歳の離れた末娘、美留久を除いては。