きみといつまでもいたい

「レイプ被害に遭った女性は、性交渉に嫌悪感を抱くようになる。

まあ、当然のことだな。

延いては、人間不信、対人恐怖症。他人との接触を極力避ける傾向が見られる。

特に男性に対しての恐怖感を拭い去るのは難しく、時間がかかる。

大衆の中でパニック障害を起こしたり、不安神経症に悩む女性も多い。

他人との接触を避ける反面、他人からどう見られるかに極端に敏感になる。

自分の身が穢れているという妄想から潔癖症になり、物に触れる度手を洗ったり、肌から血がにじむほどに身体を強く洗ったり。過食や拒食に悩む女性もいる。

それは全て、レイプによる精神的被害の副産物だ。

女性にとって、レイプされるということは、単に身体に傷を負うより何倍も精神的ダメージが大きい。

君は彼女のそんな心の状態を理解し、受け止め、対処しなくてはならない。

その上で、良い結果が得られるとは限らない。

彼女は男としての君を、友人としてさえ受け入れることができないかもしれないんだ。

君は医者じゃない。

彼女にしてみれば、君は怖れる男の一人でしかないかもしれない。

君に、そんな美留久ちゃんを客観的に理解する余裕があるだろうか?


いや言い換えよう。


聖夜、君に、そんな彼女の側にいる勇気があるのか?」
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