きみといつまでもいたい


美留久の見た目は、昔とは随分と変わっていた。


足早に過ぎ去る娘の後ろ姿を、郷は複雑な思いで見送った。

短く切りそろえられた髪は、艶もなく、少しだけゴワついて見えた。

細く伸びた手足と、飾り気のないジーンズとパーカ姿は、少女と言うよりは少年にしか見えなかった。

外出を控えている為か、元々色白だった肌は透き通るように白くなり、逆にその真っ直ぐな黒い瞳を際立たせていた。

少し棘のある表情が、美留久の複雑な心の内を映していた。


嗚呼、それでも、どんなに女を隠したとしても、美留久は美しかった。


髪を伸ばし、少しふくよかになった美留久を想像する。

幸せに頬を染め、笑う姿を想像する。


郷は、そんな自分を戒めた。


少年のように振舞う美留久は、男性からの視線を怖れていたのだ。

郷にはそれが判るだけに、辛かった。
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