きみといつまでもいたい


ある日、聖夜が学校から帰ってくると、家の中に母の姿が見えなかった。


「ママン?」


キッチンを見渡して、微かに聞こえる母の声に耳を傍立てた。

その話し声は裏庭から聞こえてくるようだった。

裏庭に飛び出した聖夜は、そこに母ともう一人のご夫人が楽しそうに談笑している風景に出くわした。


「ママン?」


聖夜の問いかけに、母が振り返った。


「あら、聖夜、おかえりなさい。

こちら、一郷さんの奥様。

美留久ちゃんのお母様よ」


母は流暢な日本語で聖夜に話しかけた。


「ミルクのママン?」


聖夜はなんだか良くわからないまま、

「古谷聖夜です」と、かしこまって頭を下げた。
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