きみといつまでもいたい
声
「おじさん!」
龍は、足早に遠ざかる美留久に気を奪われ、一歩気づくのが遅れた自分を恥じた。
いや、たとえ意識を集中させていたとしても、彼に駆け寄ってきた青年が聖夜だとは気づけなかったかもしれない。
龍は、自分の前に立つ青年に目をこらした。
「嗚呼、聖夜くんだね」
面影はある。
龍は咄嗟にそう思った。
それ程に彼の風貌は変わっていたのだ。
顔の傷は、殆ど気づかれないほどに綺麗に治っていた。
真っ直ぐに龍を見つめるその瞳に澱みは無かった。
身体は逞しく成長し、大柄な龍と並んでも大差ない。
(そうだ……、ジョセフィーヌはフランス人だった。
美しく整った目鼻立ちは母親譲りか……)
龍を見つめる青み掛かったグレーの瞳が優しく笑った。