きみといつまでもいたい
聖夜は、人混みの彼方を遠く見つめると大きく息を吸い込んだ。
今、この場所に、ついさっきまで美留久がいた。
帰って来た、という実感を美留久の気配と共に身体に留めて置きたかったのだ。
その時だった、聖夜の目に、鮮やかなピンク色が飛び込んで来たのは。
「おじさん、今でも美留久はピンクが好きですか?」
聖夜の唐突な問いに、龍は首を傾げながらも頷いた。
「そうだな。
ナリは少年のようだが、赤い色は好きらしい。
今日も牡丹のような鮮やかなピンクのパーカーを着ていたな」
「おじさん、折角出迎えに来ていただいて申し訳ないのですが、僕、寄らなきゃならない所ができたんで、ここで失礼します。
大丈夫、寮の場所も学校もわかります。
落ち着いたら、おじさんのところにも顔を出します」
「美留久には?」
そこが、一番重要な点だった。
彼がこれから、どう美留久に関わるつもりでいるのか。
それを確かめておかなくてはならなかった。