きみといつまでもいたい


美留久は鏡に映った自分の姿に、今更ながら気がついた。


そこにいたのは紛れも無い今の自分。

その姿は聖夜の隣りに立つに相応しい者の姿とは思えなかった。


聖夜は長い髪が好きだった。

そして、何より美留久の笑った顔が好きだと言った。


だから、美留久は聖夜の前では、決して泣かないと誓ったのだ。


(その約束は守れなかったけれど……)


美留久が聖夜の前に立つには、もう少しだけ勇気が必要だった。


視線を上げ、必死に鏡の中に聖夜の姿を探したが、その影はもうどこにも見つけることは出来なかった。


父龍が、遠く離れたその場所で、一人立ち尽くしていた。
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