きみといつまでもいたい
聖夜は目に飛び込んで来た、鮮やかなピンク色を目指して足を速めた。
そう、あれは確かに、あのピアノコンクールの日、美留久が纏うていた筈の美しいドレスの色だった。
待合コンコースの脇に設えられた小さなカフェ。
その奥に彼女はいた。
(美留久に違いない)
聖夜は迷うことなくその傍らに歩み寄り、声をかけた。
「ただいま、ミルク」
少女はその言葉にビクリと跳ねると、咄嗟にフードを頭から被った。