きみといつまでもいたい
「こんにちは、はじめまして。
わたしは、美留久の母の華です。
聖夜くんは、美留久と同じクラスなんですってね。
よろしくね」
聖夜は、訳がわからなかった。
「そうよね、玄関が夫々道に面してるから、学校への通学路は別々だものね。
でも、この裏庭で、我が家と古谷家は繋がってるのよ。
お隣り同士なの。
いつでも遊びにきて頂戴、大歓迎よ。
家には、大きいお兄ちゃんも二人いるから、聖夜くんも退屈しないわよ」
美留久のママは、事情を飲み込めずポカンとしている聖夜に、詳しく説明してくれた。
と、その時、二階の窓から美留久の顔が覗いた。
「あ、ミルク」
声を上げて、見上げた聖夜に向かって、美留久の視線が注がれた。
「あ、セイヤ」
そこには、確かに美留久がいた。
特別な関係は既に整っていたのだ。
その日から、聖夜の隣りにはいつも美留久がいた。
呼べば答えるそんな近しい位置、特別の特別。
聖夜にとって、美留久はそんな場所にいた。