きみといつまでもいたい



水谷は迷うことなく、真っ直ぐに聖夜の通う大学にたどり着いた。



そこはもう何度も訪れた周知の場所だった。

彼が聖夜を見つけるのに、さして時間はかからなかった。

美留久からメモを奪うまでもなく、彼は龍から聖夜の居場所を知らされていたのだ。

それは長年美留久の傍に寄り添った水谷への、龍なりの配慮だった。


『聖夜君が美留久に会いにくることはない』


そう断言した、龍の言葉を水谷は思い出していた。


「じゃあ、何で日本に戻って来たんですか?」

「美留久が会いたいと思った時に会えるように、かな」

「そんな……」


聖夜の帰国で、状況が劇的に変わる。


水谷の期待は、そうして一瞬にして打ち消されたのだ。
< 185 / 242 >

この作品をシェア

pagetop