きみといつまでもいたい


事故の後、ずっと美留久に寄り添ってきた彼だった。


最初は戸惑いもあったが、美留久があの場にいた水谷を責めることはなかった。

けれども、美留久に寄り添う彼の気持ちとは裏腹に、美留久が彼に心を開くことはなかった。

二人して聖夜のことを話す時だけ見せる美留久の笑顔が、唯一、彼の救いだったのだ。

美留久に笑顔を取り戻せるのは、聖夜しかいないのだと、それはそう彼に思わせるに十分な仕打ちだった。


美留久の中には聖夜への思いしかないのだと。


(その聖夜が帰って来たというのに……

二人は会おうともしない)


水谷にはそれが理解できなかったのだ。
< 186 / 242 >

この作品をシェア

pagetop