きみといつまでもいたい
短く、精悍に整えられた聖夜の髪は、彼の迷いが払拭されたことを物語っていた。
この五年の間に何回もの手術を繰り返し、その顔に、もう事故の傷跡を探すことは難しい。
「美留久は……、美留久は僕を受け入れてくれるでしょうか?」
「一郷さんの話では、美留久ちゃんは今、大学の三回生だ。
元気に毎日学校に通って、最近では友人もできたそうだよ」
「良かった。
……でも……」
「でも、なんだ? 聖夜」
「美留久を想う僕の気持ちは変わらない。
美留久がたとえ僕のことを忘れていても、忘れようとしていても。
もしかしたら僕達はこのまま死ぬまで会わずにいる方が良いのかもしれない。
僕たちの関係を一からやり直すなんて無茶なことかもしれない。
それでも僕は諦めきれない。
たとえ見守ることしかできなくても、僕は美留久の傍にいたい」
自分に言い聞かすように、聖夜は弱音を口にした。
樹は十分承知していたはずだった。
聖夜がこの遠いカナダの地に逃れ、辛い過去の記憶と美留久を切り離すため戦ってきたことを。
再び彼女に会うために、聖夜が頑張ってきたことを、樹はわかっていた筈だった。
だが……