きみといつまでもいたい



――ドゥ・レ・ミァ・ファ・ス・ラ・セィ・ド・・・



十年以上封印されていたピアノは、ちょっと可笑しな音階を奏でた。


美留久が、指が動かし簡単な曲を弾くと、それはヘッポコ間抜けな音を吐き出した。

それはまるで壊れかけた今の自分。


「あはは……、変な音……」


美留久の中から、自然に、笑いと涙がこみ上げてきた。

あまりに間抜けで可笑しくなった。





氷が溶け出したのだ。

< 206 / 242 >

この作品をシェア

pagetop