きみといつまでもいたい



「あれ? セイヤが何でここにいるの?」



道場で会った美留久は、怪訝そうに聖夜に尋ねた。

その頃の聖夜は、小さい美留久と同じ位小さくて、身体付きも細い、弱弱しい印象の美少年だったのだ。


「僕も強くなりたくて。強くなってミルクを守るんだ」


上気した顔で聖夜は美留久にそう言った。


「ホント? 嬉しいな」


にっこり笑った美留久は、その後を続けた。


「じゃ、あたしはもう止めちゃおうかな。

ママが女の子でも、自分の身は自分で守れなきゃ駄目っていうから、仕方なくやってたんだもの。

セイヤが守ってくれるんなら、大丈夫だよね?」

「でも、僕、まだ始めたばかりだよ?」

「まだ、駄目?」

「うん、もうちょっと待ってもらえると嬉しいな」

「しょうがないなぁ~ ちょっとだよ?」


美留久は膨れてそう言った。

聖夜の横で、型の練習をする美留久の姿は、なんだかとっても凛々しくて、聖夜は少し戸惑った。


そして幼心にも、聖夜はその時悟った。


美留久の側にいる為には強くならなければいけない。


聖夜はその時、そう決意した。

同時にそれが彼の目標になったのだ。
< 21 / 242 >

この作品をシェア

pagetop