きみといつまでもいたい
「あれ? セイヤが何でここにいるの?」
道場で会った美留久は、怪訝そうに聖夜に尋ねた。
その頃の聖夜は、小さい美留久と同じ位小さくて、身体付きも細い、弱弱しい印象の美少年だったのだ。
「僕も強くなりたくて。強くなってミルクを守るんだ」
上気した顔で聖夜は美留久にそう言った。
「ホント? 嬉しいな」
にっこり笑った美留久は、その後を続けた。
「じゃ、あたしはもう止めちゃおうかな。
ママが女の子でも、自分の身は自分で守れなきゃ駄目っていうから、仕方なくやってたんだもの。
セイヤが守ってくれるんなら、大丈夫だよね?」
「でも、僕、まだ始めたばかりだよ?」
「まだ、駄目?」
「うん、もうちょっと待ってもらえると嬉しいな」
「しょうがないなぁ~ ちょっとだよ?」
美留久は膨れてそう言った。
聖夜の横で、型の練習をする美留久の姿は、なんだかとっても凛々しくて、聖夜は少し戸惑った。
そして幼心にも、聖夜はその時悟った。
美留久の側にいる為には強くならなければいけない。
聖夜はその時、そう決意した。
同時にそれが彼の目標になったのだ。