きみといつまでもいたい

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小学校五年にあがる頃には、聖夜の背は百六十センチを越していた。

人目を惹く容姿とも相まって、彼は群を抜いて目立っていた。

武道のお陰もあり、体格だけでなく精神ともに大きな成長を遂げていた。

努力家で忍耐強く、何事にも真面目に取り組む彼の姿に、大人も一目置いていた。

彼は陽気で人気もあり、誰とでも仲良く打ち解けることができた。

愛する美留久を守るため、聖夜は日々強くなりたいと努力していたのだ。


そんな彼を美留久も誇らしく思っていた。

日に日に大きく逞しくなる聖夜を、自慢に思わない筈はなかった。

だけど小さい美留久は、聖夜と話す時、上を見上げなくてはならない。

それだけが不満だった。


「聖夜だけおっきくなってズルイ!」


美留久は時々、そう言って不満を口にした。

その意味するところは、言葉の裏に隠されていた。

本当は身体だけでなく、彼の気持ちの大きさも負けているような気がして悔しかったのだ。


そんな美留久をなだめるように、聖夜は、美留久の傍にいる時、必ず彼女の横に腰掛けるよう気遣った。

いつでも、美留久の顔を正面から見れるように。

いつでも美留久が聖夜を真っ直ぐに見つめられるように。


たとえ身体が大きくなっても、気持ちはいつも美留久と対等に。

美留久に寄り添うことが聖夜の喜びであったのだ。

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