きみといつまでもいたい



「さあ、カフェ・オ・レをいれよう。

そろそろママンをおこしに行くじかんだ」



聖夜は、鉄板に並んだクロワッサンを網に移すと、次の用意に取り掛かった。

彼の掛け声に促され、小さな身体で椅子によじ登り、食器棚からママンのカフェ・オ・レカップを探し出す美亜。

聖夜は、彼女の安全を確認し、手鍋にミルクを温めピッチャーに移した。


(あとはコーヒーだ)


少しローストのきつい豆を、丁寧に挽き、ドリップにセットする。

細い弧を描いて泡を立てながら、聖夜は慎重に、熱いお湯をまあるく円を描きながら注いでいった。


(う~ん、良い香りだ……)


カフェ・オ・レのコーヒーは少し苦めが丁度良い。

そして、コーヒーとミルクの割合は1対1。

それは母の時代から受け継がれた、古谷家の決まりだ。
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