きみといつまでもいたい
『セイ、聞こえる?
あたし上手になったでしょ。
セイ、あたし、セイが大好きだよ』
ピアノの音は、聖夜の耳にそう伝えているように聞えた。
日に日に上達するピアノの調べに乗せて、美留久の気持ちも育っていった。
二人は静かに愛を育てていったのだ。
ある日、聖夜は思い切って美留久に自分の気持ちを伝えることにした。
「美留久、僕ね、美留久が好き。ずっと好き。とっても好き」
ただ、好きの気持ちを伝えたかった。
「なぁんだ、セイも? 良かった。あたしも好き。セイが好き。大好き」
美留久は笑って、そう答えた。
そんなこと、わかり切ったことだった。
聖夜はそっと、美留久の頬にキスをした。
二人の始めてのキスはほんのり汗の味。
いつまでも続くはずだった、大好きの気持ち。
それは、聖夜の大切な幸せの記憶。