きみといつまでもいたい
美留久だって、いつもこんな具合にテキパキと物事を処理できる訳ではなかった。
でも、殊、聖夜の為となると、美留久は思いがけない力を発揮することが出来たのだ。
何故って、聖夜が絶対の信頼を持って美留久を頼ってくれたから。
その期待に応えたいと思う思いが、美留久に自信を与えたのだ。
借りてきたその本のページを捲りながら、美留久と聖夜は、材料集めと段取りの相談をした。
何度か一緒に練習で作ってみるのは良いとして、実際の日曜の朝のクロワッサンは、聖夜と大樹で作らないと意味がないということになった。
尤もな考えだ。
でも、ことは重大、失敗は許されない。それ位の覚悟で製作に臨むのだ。
大樹は仕事で忙しい。
なので、作り方を覚えるのは聖夜の役目ということになる。
料理は初めてと言う聖夜にとって、それはとてつもなく困難な仕事に違いなかった。
その日から美留久の特訓が始まった。