きみといつまでもいたい

粉に水を混ぜ、パン生地のベースを練り上げる。

それに層状にバターを挟みこんでいく。

一回毎、冷蔵庫で寝かしながら、焦らず正確に作業をこなす。

そうしないと、バターが溶けて、生地が台無しになってしまうのだ。

この手順が大切なのだと、本に載っていた。

美留久もクロワッサン作りは初めてだが、お菓子作りは得意なので、あれやこれやと注文を付け、聖夜の手つきを指図した。

何回かの試行錯誤の後、聖夜の手つきも大分手馴れてきた。

こういう作業は、もともと男手の方が向いているのだ。


「セイ、やれば出来るじゃない」

「ありがとう、ミルクのお陰だよ」

「あたしも、セイの奥さんになったら、日曜の朝は、セイの手作りクロワッサンとカフェ・オ・レがいいな」

「お望みとあらば……」


美留久の期待に応えられた喜びと、喜ぶ顔が見れた嬉しさと。

聖夜は幸せな気持ちで頷いた。


日曜の朝、喜びに輝くジョセフィーヌの顔と、誇らしげに自分を見る大樹の顔を思い浮かべて。
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