きみといつまでもいたい
「セイ、先に行っているよ……」
聖夜は、遠ざかる父と母の姿を必死で追いかけていた。
「ママン、パパ……、待ってよ、僕も行く」
「あなたにはミルクちゃんがいるでしょう。
パパとママはもう十分幸せな時をあなたと過ごしたわ。
セイ、あたなにはまだ大人になる未来がある。
本当の幸せを見つけてね」
優しい母の声が、咎めるように聖夜の行く手を阻んだ。
二人は手を繋ぎ、聖夜を振り返ることなく、どんどんと遠ざかっていく。
(追いつけないよ……)
諦めて立ち止まった聖夜の後ろの方から、今度は彼の名を呼ぶ美留久の声が聞こえてきた。
「セイ……」
浮かんだのは、柔らかく笑う美留久の笑顔。
もう一度その笑顔がみたい。
聖夜は心からそう願ったのだ。