きみといつまでもいたい
聖夜の怪我は、全身に及ぶ複雑骨折。
辛うじて脊椎に損傷がなかった為、骨折さえ直ってリハビリを上手くすれば、歩くことも手を動かすことも可能であろうということ。
車から投げ出された際、割れたガラスが全身に刺さり、それを取り除く為に無数の傷が身体中にできたこと。
特に顔の部分に大きな傷が残ってしまったということ。
脳挫傷により、記憶に欠落があるかもしれないということ。
完全な意識の覚醒までには、暫く時間がかかるということ。
他にも何か、予測できない障害が将来起きるかもしれないということ。
そして、両親は二人とも亡くなったということ。
(こんな身体でも、僕は生きなくちゃいけないのだろうか)
聖夜は時折覚醒する意識の中で、自分の置かれた現実を受け入れることができないでいた。
たとえ、意識が完全に戻って、この目で世界を再び見ることができたとしても、再びこの足で歩くことができたとしても……
もう笑えない。
そんなことを考えていた。