きみといつまでもいたい



「何かあったら連絡しろ」



その言葉に小さく頷くと、聖夜は搭乗ゲートに向かって歩き出した。


聖夜の両親が事故で亡くなったあと、聖夜は樹にとっても、たった一人残された家族だった。

そして、傷ついた聖夜を深く憂い、彼の成長を誰よりも願ったのも彼だった。

高校生だった彼を連れ、このカナダの地で、聖夜の壊れた心を取り戻そうと二人で頑張った日々を思った。


いつしか、樹の瞳には温かい涙が溢れていた。


聖夜が再び幸せを取り戻す。

それは樹にとっての願いでもあったのだ。



その一歩がこれから、始まろうとしている。



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