きみといつまでもいたい


樹は、トレーニングルームで二人の様子を眺めていた。


誰もが聖夜の回復に驚いていたが、樹自身も例外ではなかった。


彼がここに留まったのも、二人が必死に訓練に取り組む、その姿に心打たれたからでもあったのだ。



辛い訓練に顔を歪める聖夜に、美留久は手を差し伸べることなく背中を押した。

その手に押されることで、聖夜は少しずつ前に進んでこれたのだ。

聖夜の背中を押す美留久の顔も、やはり苦痛で歪んでいた。

美留久は聖夜と苦しみを共有してきたのだ。



自分はこれ程献身的に、聖夜に寄り添うことができるだろうろうか?

そう問いかけた時、樹に二人を引き離すことなどできるわけがなかった。

それが友情か、恋か、愛かはわからなかったけれど、二人が強い絆で結ばれていることは、疑う余地がなかった。

聖夜から美留久を引き離したら、聖夜の生きようとする希望が失われるだろうということは、樹にも容易に想像できたのだ。

だからこそ、強く願わずにはいられなかった。


聖夜の回復を。



二人が再び並んで歩くことのできる近い未来を。
< 70 / 242 >

この作品をシェア

pagetop