きみといつまでもいたい
樹は、トレーニングルームで二人の様子を眺めていた。
誰もが聖夜の回復に驚いていたが、樹自身も例外ではなかった。
彼がここに留まったのも、二人が必死に訓練に取り組む、その姿に心打たれたからでもあったのだ。
辛い訓練に顔を歪める聖夜に、美留久は手を差し伸べることなく背中を押した。
その手に押されることで、聖夜は少しずつ前に進んでこれたのだ。
聖夜の背中を押す美留久の顔も、やはり苦痛で歪んでいた。
美留久は聖夜と苦しみを共有してきたのだ。
自分はこれ程献身的に、聖夜に寄り添うことができるだろうろうか?
そう問いかけた時、樹に二人を引き離すことなどできるわけがなかった。
それが友情か、恋か、愛かはわからなかったけれど、二人が強い絆で結ばれていることは、疑う余地がなかった。
聖夜から美留久を引き離したら、聖夜の生きようとする希望が失われるだろうということは、樹にも容易に想像できたのだ。
だからこそ、強く願わずにはいられなかった。
聖夜の回復を。
二人が再び並んで歩くことのできる近い未来を。