きみといつまでもいたい
聖夜が足を引きずりながらも自力で歩けるようになったのは、夏休み明け九月のことだった。
初めて中学校に足を踏み入れる聖夜の緊張をよそに、美留久の心は浮き足立っていた。
夏休み前に退院した聖夜と、家から学校まで連れ立って歩けるのだ。
美留久の中では、それはある意味、復活に違いなかった。
それまでの現実が、あまりにも悲惨なものだったからこそ。
美留久は全てが元に戻ったような錯覚に陥っていた。
聖夜の父母はもうこの世にはいないし、聖夜の身体も心も、あの頃とは変わっていたのに。
美留久は一人、納得したかった。
自分のせいで奪われた聖夜の幸せや自由が、少しでも修復できたことを。
それが美留久の生きる意味だったのだ。