きみといつまでもいたい
美留久の喜びとは裏腹に、聖夜の気持ちは暗かった。
身体に感じる違和感は、決して拭い去れるものではなかったし、
両親と幸せに暮らしたこの家に、自分だけが今住まわっていることへの罪悪感はどう足掻いても消すことはできなかった。
嬉しそうに笑う美留久を目の前にして、聖夜の罪の意識はなお更に募っていった。
「ほんとうに、僕が学校へ行く必要なんてあるのかな?」
「何言ってんの、セイ。あるに決まってるじゃない。
あたしだって、他のみんなだって、セイに会いたいに決まってる。
セイの席は、一年の時からずっとあるし、今だってあたしの隣りにあるんだよ」
「ミルクの隣り?」
「セイの席は、いつもあたしの隣りなの。あたしがみんなに頼んで、そうして貰ってる」
「はじめて聞いた……」
「だから大丈夫。わからない事は何でもあたしが教えてあげる。
困ったことがあったら、何でもあたしが助けてあげる。
だから、心配しなくていいよ」
聖夜は少しだけ胸が苦しくなった。
何故って、理由はよくはわからなかった。
美留久が全身全霊をかけて聖夜を守ろうとしてくれているのが、嬉しくもあり苦しくもあったのだ。