きみといつまでもいたい
聖夜が美留久を頼る気持ちは、当然だった。
死の淵から聖夜を呼び戻したのは美留久の声だったし。
両親が居ない今、聖夜の心の拠り所は美留久だけだったのだから。
美留久がいたから、生きる力も湧いてきた。
美留久が喜ぶことなら、何でもしてあげたかった。
でも、実際に美留久の笑顔を目の当たりにすると、聖夜の心は苦しくなるのだ。
希望と絶望
喜びと悲しみ
好きと嫌い
相反する感情の波を、聖夜は受け入れなくてはならなかった。
美留久の笑顔の向こうに、炎に巻かれる事故の光景が重なった。
美留久の笑顔に時めくと、その向こうに傷だらけの不具な自分が重なった。
お前に幸せになる権利などない。
そんな声が何処からともなく聞こえてきた。
いっそ、美留久を目の前から消してくれ、何度そう叫ぼうと思ったことか。
それでも彼女を拒絶できないのは、自分が弱いからだと聖夜は漠然と感じ始めていた。
美留久と共にいるとは、そういうことなのだ。
自分の弱さに向き合う為、神が自分に与えた罰なのだと、聖夜は美留久を以前と同じように愛することを躊躇った。
聖夜にとって、美留久を失うということは、生きる意味を見失うに等しいことだったのに。