きみといつまでもいたい
教室に足を踏み入れた瞬間、
流石の聖夜にも、その異様な雰囲気が感じ取れた。
『あれが、古谷聖夜だって……
嗚呼、あの事故の生き残り?
凄い傷だね。でも、歩いてる……』
囁く声が、耳に届いた。
事故から三年。
奇跡の生還を遂げた少年が、今ここに立っている。
そのことだけで、注目を集めるのは当然のことだった。
自分に注がれる興味と哀れみの目には耐えられた。
そんなもの、彼の現実に比べれば何でもないことだった。
でも、聖夜にとっては、そんな囁きより、顔を強張らせた美留久の方が、はるかに大問題だった。