きみといつまでもいたい
とても楽しい食卓とは言えなかったが、美留久にとっては聖夜の傍にいることが重要だった。
「美味しい?」
「うん」
「あたしも腕を上げたよね?」
「うん」
「もう何時でもセイのお嫁さんになれるよ」
「……」
自分の発した言葉が聖夜の顔を曇らせたのを美留久は見逃さなかった。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。
だってそれは美留久がいつも夢に描いていた、彼女の唯一の希望であったのだから。
「ねえ、セイ?」
食い下がるように発した問いかけに、聖夜から返ってきたのは思いがけない返事だった。
「ミルク、もう冗談は止めにしよう。
僕みたいなガラクタのことなんか、もう放っておいてくれ。
いや、忘れてくれた方が気が楽だ」
「セイ……、何言ってるの?」
「ミルクが忘れてくれないなら、僕が忘れる。
僕がミルクを嫌いになるしかない」
「セイ、冗談だよね?」
「冗談?
僕が冗談を言っているように見えるかい?
僕はミルクと居る限り、過去を拭えない。
ミルクが居る限り、悪夢から抜け出せない。
もうたくさんなんだ。
放っておいてくれ!」