きみといつまでもいたい



「なにするのっ」



触れた見知らぬ男の気配に美留久の意識が覚醒した。


暴れる美留久に閉口したのか坂本は一瞬歩みを止めた。

水谷の目に映ったのは、その身体を電柱に打ち付けられる美留久の姿。



時すでに遅し。

そして美留久は動きを失った。



水谷はよろめきながらも、坂本達の後を追った。

彼らは美留久を背負い、雑居ビルの間の細い路地へと入って行った。


そこには人気のない小さな空き地があり、通りからは全くの死角になっていた。

街の粗大ゴミが積み上げられたゴミ溜めだ。

スプリングの壊れたソファ、染みの付いたマットレス、脚の折れた椅子、壊れた冷蔵庫。

坂本はそのマットの上に美留久の身体を横たえた。
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