先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
たまに僕の感想ノートにもそういうコメントが書かれているけれど、その作者の作品に訪れる気を無くす。


一通りの作業を終え、振り返ってリビングを見てみれば、宮澤さんはいつものように夕食を作っていた。


「いつもすみません」
「気にするな、料理なんか趣味だから」


ずっと僕の為に夕食を作ってもらって悪い、とテーブルで向かい合った時に言ってみたら


「勘違いするな、1人で自分の作ったメシを食うのは味気ないからこうしているだけだ。それに、お前が栄養失調で倒れて執筆出来なくなったら、困るのはコッチだからな」


と即、否定されてしまう。


でも、そういう目的でもいい。


相手の気持ちはともかくとして、僕の好きな人に食事を作って貰えるのなら。


食事を終え、後片付けまで済ませてくれてマンションを出ようとした宮澤さんを見送る為にエントランスへ向かう。


その時『デデッデッデデデーン』と重厚な着信音が響き、宮澤さんのケータイへ着信しているのが分かった。


「じゃあな」
「はい」
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