先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
『チュッ』
と軽い音と同時に裕実のグロスで潤った唇が重なり、離れて行く。
だけど僕は前のようにもう彼女の華奢な体を強く抱いて、押し倒す事なんか出来なかった。
再び僕を捕えようとする目から顔を背け、ソファから立ち上がるとそのまま部屋を飛び出す。
何故裕実が今になって僕なんかに誘いをかけたのか、何故僕がそれから逃げたのか自分でも理解出来ないけれど、とにかくあのままの流れでまた元のサヤに戻る気が無かったんだと納得させたのは『pinkish』のカウンターの前。
「はい、クミちゃん特製の酔い覚ましよ」
「ありがとうございます」
ジョッキに注がれたイオン飲料と何かの栄養剤を合わせたと思われる薄黄色の濁った液体へ口を付けると、甘ったるさの中にヘンな苦味を感じて思わず吹き出す。
「ゲヘッ! これ、何を……」
「何をってイオン飲料にウコンドリンクを混ぜたの」
「うう……」
「ちょっとぉ、クミちゃん、私の亘理君にヘンな物を飲ませないでよ」
横に座る和希さんが笑いながら僕の肩を抱き、力強くポンポンと何度も腕を叩く。
ここは暖かくて居心地がいい、そう思って目を軽く閉じると物凄い勢いで睡魔が襲って来た。
と軽い音と同時に裕実のグロスで潤った唇が重なり、離れて行く。
だけど僕は前のようにもう彼女の華奢な体を強く抱いて、押し倒す事なんか出来なかった。
再び僕を捕えようとする目から顔を背け、ソファから立ち上がるとそのまま部屋を飛び出す。
何故裕実が今になって僕なんかに誘いをかけたのか、何故僕がそれから逃げたのか自分でも理解出来ないけれど、とにかくあのままの流れでまた元のサヤに戻る気が無かったんだと納得させたのは『pinkish』のカウンターの前。
「はい、クミちゃん特製の酔い覚ましよ」
「ありがとうございます」
ジョッキに注がれたイオン飲料と何かの栄養剤を合わせたと思われる薄黄色の濁った液体へ口を付けると、甘ったるさの中にヘンな苦味を感じて思わず吹き出す。
「ゲヘッ! これ、何を……」
「何をってイオン飲料にウコンドリンクを混ぜたの」
「うう……」
「ちょっとぉ、クミちゃん、私の亘理君にヘンな物を飲ませないでよ」
横に座る和希さんが笑いながら僕の肩を抱き、力強くポンポンと何度も腕を叩く。
ここは暖かくて居心地がいい、そう思って目を軽く閉じると物凄い勢いで睡魔が襲って来た。