先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
封筒を手にしたまま部屋の中、1人でそれを開けようか開けまいか考えているとドアノブを回す音に気付く。


もしかして裕実だろうか、まだ僕の部屋の解錠ナンバーを覚えていて……。


封筒を慌ててソファの上へ放り出し、振り返ってみれば宮澤さんの姿。


どうしてこんな所へ来たのだろう? 


もう書けなくなった僕なんかに用事は無いのに。


「宮澤さん、僕、もう書けませんから」
「はぁ? 」


そんな強い声で言われたってビビったりなんかもうしない、開き直った男は強いんだぞとソファへドスンと腰を下ろし、夜叉のような顔を見上げる。


だが宮澤さんは少しも動揺せず、バッグから乗馬用ムチを取り出してその柄でアゴを持ち上げた。


「テメェ、あんまナメた事を言ってるとどうなるか分かるだろうな? 」
「叩けばいいじゃないですか、それで」
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