先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
この日、僕はバイトを休んで遅れていた更新をした。


もう削除なんか出来ない、後ろにはいつもの表情を取り戻した加瑚がムチを片手に見張っているのだから。


「エピローグの直前4ページまで行きました! 」
「誤字脱字が無いか確認しただろうな! 」
「それは勿論ですっ! 誤字脱字と表現のミスは読む気を失せさせる原因第3位ですからっ! 」
「じゃあこの加瑚という字は何だ? 正しくは過去だろうが! 」


ビシィッ! 本気の一撃を肩へ食らい、激しい痛みを感じたがさすりもしないで誤りを訂正する。


「これでいかがでしょうか? 」
「よろしい、では夕食にする」
「ありがとうございます」


時計を見ればもう夜の10時、昨日の夜から何も食べていないのでお腹が空いている筈なのに食欲が沸かない。


そんな僕の様子を目にした加瑚が正面から額に手を当てた後、驚きの表情を浮かべる。

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