先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
しかもそれだけでは済まず、真に受けた他のユーザーから、僕の作品に対する批判が次々と……。


『あんな設定無い』
『Hなシーンとか無いし、面白く無い』
『ケー小っぽくない』


ラノベ時代に見た悪夢の再来。


「やったのはyumi☆だな」
「でしょうね……」


あの時とは違い、犯人は分かっている。


だけどここで訂正する書き込みをした所で、この流れを止める事は出来ない。


ああいう場所へ書き込まれたが最後、削除以来なんか出来るはずもなくただ黙って耐えるしかないのだから。


匿名で書き込みが出来るだけに人間の奥底へ潜む悪意を全て曝け出し、容赦無く他人を攻撃して来る。


「神崎、気にするな」
「はい」
「この件が片付いたらまた来る、だからちゃんと」
「執筆を進めます、安心して下さい」


もう大丈夫、あなたが側に居てくれたから。


今、出来る事ならば抱き締めてキスをしたい。


だけど彼女と『賞を獲るまでは指一本触れない』そう約束した以上、ただ複雑なその顔を見ているだけ。
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