先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
でも彼女はこの原稿が上がればすぐに会社へ取って返し、校正や編集を始めてしまうだろう。


1人で食べるのは虚しいなあ、温かい料理は2人で向かい合って食べたいのに。


なんて事を考えていたら、不意に響く音。


ビシィッではなく、ピンポーンというチャイム音。


「お前は書いていろ、あたしが応対してやる! セールスだったらこの手で追い返してやるからな」
「お願いします」


手じゃなくてムチで追い返すクセに……前もあったんだ、化粧品のセールスマンが訪れた時にわざわざエントランスまで出て行ってムチで脅して言葉攻めを浴びせて最後にはヒールでセールスマンの背中を踏みつけてたなんて事が。


あの時のセールスマンはクセになったらしく、一時は加瑚の追っかけと化して大変だったんだ。


何とか『奴隷一号』であるこの僕がその騒ぎを収めたんだけど……。

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