先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「おう、神崎。わーったか? これが今の男と女なんだよ」


取材を終えた後、例の如くプハァーッと煙草の煙を鼻と口から盛大に噴出しながら宮澤さんが腕組みをする。


「分かりました、まあ」
「まあって何だよ? だからぁー」
「それぞれご都合のいい考え方で進んでるって事ですよね、女子も男子も」
「ちげーよ、あたしが教えたかったのは」


一体何を教えようとしてくれていたのだろうと煙の中にぼやけるその顔を見詰めながら、グビッとグレープフルーツサワーを口に含んだ瞬間、バァーンと大きな音を立ててテーブルを叩かれ、思わず口からサワーを噴出した。


「ブハッ! 」
「だからよぉ、あのビッチも言ってたろ? ケー小なんか田舎のガキが読むモンだって」
「はぁ」
「あたしがオメーに書かせたいのは違うんだよ、あんなビッチでも夢中になれるいい話で尚且つ新しいケー小の方向性を決めるような作品なんだよ」


珍しくマジメな顔で宮澤さんが吠え、店中の注目を浴びた所で店長と思しき人物が飛んで来る。
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