先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
裕実とは大学へ入学したばかりの頃に同じサークルで知り合い、付き合い始めた。


メガネで天然パーマでガリガリで冴えない僕に、こんな可愛い彼女が出来たなんてと最初は有頂天だったが……。


コンパの最中、担当の原さんからの電話が掛かって来て、それに応対しているのに聞き耳を立てていた彼女が実は印税目当てで近づいて来たと気付いたのは大学を卒業する頃だった。


「連載、打ち切りになっちゃったんだ」
「えーっ! じゃあもう原稿料とか印税入って来ないの? 」
「うん」
「そうなんだぁー」


その時はそれで済んだ、でもその1ヶ月後。


裕実が就職したばかりのTV局の社員とデートしている場面を偶然目撃し、それを問い質したら悪びれもせずに


「だってぇ、お金無いとデートできないんだもん。亘理君、別れよう」


と……。
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