先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
金の切れ目が縁の切れ目、それを思い知った。


以降、僕は取りあえずの就職先として選んだ大手印刷会社も辞め、本屋でのバイトをする傍らラノベ作家として再起すべく最近まで頑張ったのだけれど、付いていた担当の原さんが独立してフリーの編集者になり大物マンガ家と組んで原作を手がけるようになってしまい、引継ぎを受けた宮澤さんもその直後に携帯小説部署に異動。


そして今に至る。


全てはあの裕実のせいだ、大事に貯金していた印税も殆どデートやプレゼント代として貢いでしまったせいで、本屋のバイトとして生活費を稼ぎながら後輩のラノベ作家、有山 駿の本が売れるのを横目で見るハメになったのも、宮澤さんにイジめられているのも!


溜まりに溜まった怒りはいつしかキーボードへ向けられ、無意識のうちに僕はプロットを練り上げていた。


主人公は15才の女子高生、男を金でしか判断出来ないタイプの嫌な女。


相手役は地味な予備校講師で、見た目は冴えないが過去に心の傷を負っている。


そんな2人が出会い、互いの思想の違いを乗り越えて恋に落ちるというストーリーを。
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