先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
名前の後に☆って、意味が分からない。


『星 ユミ』という名前なのか?


国民的熱血野球マンガの主人公みたいな名字なんて……。


忌々しいと伝票を輪ゴムでパチーンと留めようとした瞬間、カバーが外れてしまったので直そうとした僕の目に飛び込んで来たのは意外な人物の写真だった。


まさかあの子が?


いいや何かの見間違いだろうと思い、食い入るようにその写真を再度見る。


間違いない、やっぱりこれは裕実だ、僕を裏切って捨てた元彼女の。


「神崎君、早く! 」
「あ、すみません」


急いで残りの本に伝票を付けて並べ終え、店番を始めたものの気が気ではない。


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