先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
本当に乱暴だ、この人は……。


それに比べて高校2年の頃にラノベ作家として華々しくデビューした時、お世話をしてくれた原さんは優しかったな。


原さんがフリー編集者にさえならなければ、そして僕がもっといい作品を生み出していれば。


こんな「淀川書店内 9cmエナメルピンヒールで踏まれたい女No,1」として、悪名の高い宮澤さんが担当にならずに済んだのに。


「とっとと書けよ、今日中にプロローグだけでも完成させろ。でなけりゃあたしとお前の首が飛ぶんだからな」


僕の脇から離れ、後ろに置いてある白い革張りのソファにドカッと座るとカチッと音を立てて煙草に火を点けて有害な煙をプカーッと吐き出す。


後でクリスタル製の灰皿を片付けるのも嫌なほど臭うし、部屋中消臭しないと眠れないからイヤなんだよな。


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