先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「じゃあまずはプロットの話だな、おい、そこへ正座しろ」


女王様が指で示されたのはソファの下のフローリングの上、言われるまま素直に座った僕に対し、先日メールで送信したプロットをクシャクシャに丸めて投げつける。


「ど、どうして! 」
「こんなんじゃダメだ、登場人物がありきたり過ぎる」
「でもそれしか浮かばないんですけど」
「ケツの青い未熟者作家め! 」


そう叫んだ女王様はどこから持ち込んだのか、スパーンと革製の乗馬用ムチを僕のすぐ脇へ叩きつける。


これじゃまるでSMだと思わず身をよじって逃げようとしたら、今度はそのムチの柄でアゴを持ち上げられ、恐ろしさの余りに素直に謝った。


「はい、すみません」
「S系男子が主流なんだよ! ケー小ギョーカイは! 」
「で、でも僕はS系でも草食系の方で」
「面白くねぇダジャレを飛ばすなっ! 」


スパーン! とまたもう一打ち、直接体へ当てて来ないので余計にそれが恐怖を増す。

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