先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「じゃ、じゃあどんな男子を登場させればいいんですか? だってS系は主流だからありきたりじゃないんですか? 」
「そうだ、その通りだ。だから、逆に明るいけれど裏では気弱な男を登場させろ」
「明るいけど裏では気弱? 」


意味が分からない、曖昧すぎると首を捻っていたら宮澤教授の講義が始まる。


「そうだ、Sや不良じゃあつまらん。話の展開が、
S的な攻め→
ヒロインの優しさに触れて更正又はヒロインの前だけでは優しくなる
→でも夜はS
みたいに似た内容にしかならん。その上、夜のシーンがあっちゃもうこれから出版出来るかどうか微妙なラインだからな」


確かにおっしゃる通りだと納得しかけたものの、明るいという意味が分からない。


明るいだけならケーハク男になってしまうし、それがヒロインの相手役に相応しいかどうかは微妙だ。


「どこにでも居るだろう、クラスのお調子者というのは」
「ああ居ますね、そういう人。僕の大学時代のサークル仲間にも居ました」
「大体そういうやつに限って、家じゃ暗いんだよ。日頃の自分の行いを反省したり、誰かを傷付けていないか不安になったり」
「なるほど、そういう人間なら書き易いです」


ではヒロインはどうだろう?


可愛い系かレディースかギャルか?


悩んでいると宮澤さんは自分のバッグの中を探り、一冊のマンガを取り出す。


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