先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「日之出君、先生に引き合わせてくれてありがとう」
「宮澤さんの為ならしょうがないですよ、でも、この事はくれぐれも内密にお願いします。小鳥が描いているのがバレたら……」
「分かってるわよ、あ、そうだ、ちょっといい? 聞かれちゃマズい話があるのよね」


手にした者を操り、人を斬らざるを得なくなるようにする妖刀正宗が放つような光を目から発した宮澤さんは日之出さんを連れて廊下へ行ってしまい、残されたのは僕と先生の2人。


こうなる事は事前に聞かされており、僕は今から兄が居たのでは聞きようのない彼女の恋愛感を聞き出さなくてはいけない。


「あの、今、高校生と伺っているんですが」
「はい、芸術科のある高校へ通っています」
「そのぉ……クラスの中で例えば気になるような人とかいらっしゃいますか? べ、別に変な意味とかは無いんですけど」
「うーん、まあ居ます。兄には秘密ですけど、実はその人と付き合ってて」


何でこんなにペラペラと喋ってくれるのだろうと不思議に思いながらも、聞かないわけには行かずにどんどん話を進めて行く。


「どんな人なんですか? 彼は」
「これも秘密なんですけど、彼もクリエイターで」
「クリエイターって、もしかして画家とか? 」
「違います、テディベアを作ってるんです」


彼=男を指す言葉。


なのにテディベアを作っている?
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