先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
意味が分からないと首をひねっていたら、先生は自分のケータイを取り出し、そこに付いている小さなテディベアを見せてくれた。


小さいのにきちんと縫製されており、手足は動き、おまけに左耳にはピアスのような小さいラインストーンが1つ輝いている。


「こういうのとか……お分かりになりますか? 」


じーっとそれを見ていたら、またあのイヤな思い出が蘇って来る。


『亘理君、この熊ちゃん欲しいの~』


裕実におねだりされたテディベア、ただのぬいぐるみのクセに値段は二万円もして、予約してから半年待たないと買えないレア物。


あの時は確かネットオークションでその値段の3倍を払って手に入れた……。


名前は


『YUNIベア』


とか言ったっけ……。
< 50 / 183 >

この作品をシェア

pagetop