先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「YUNIベアですか? もしかしてそれは」
「そうです! さすがは神崎先生、よく分かりましたね。私の彼はこれを作ってるんです」
「有名ですよね、これ。僕も前に買わされ、いや買いました」
「本当ですか! うわー嬉しい」


目の前に座る可愛らしい先生が身をよじって喜び、僕は僕で過去の忌まわしい思い出にさいなまれる。


だけど取材を続行しなければと、一度きちんと座りなおしてから話を続けた。


「出会い方なんですけど、やっぱり高校で、ですよね? 」
「そうなんです、最初はもうゼンゼン関係無かったんですけど、ある出来事をきっかけに仲良くなって」
「ある出来事っていうのは? 」
「それが……」


始まった馴れ初めの話は長く、メモを取るのも大変なほどドラマティックな内容。


高校生の恋愛といえど、なかなか奥が深い物があるなと感心していたら廊下からビシッという物音と


『ヒィッ』


という叫び声が聞こえて来る。
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