先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
マンガ・小説を問わず優秀な作家を囲い込み、死ぬまで使うのが淀川の方針。


中には他社から引き抜かれてそれを破る作家も居るけれど、そういう場合は大体その他社から違約金を支払ってカタを付けている。


フリーの原さんが近づいたという事で、引き抜きを警戒しているのだろう。


「あの、別に引き抜きとかではなくて、単にご機嫌伺いみたいな話で」
「そんなワケねぇだろ、あの原が何の魂胆も無くお前みたいなカス作家に近づくとでも思っているのか? 」


ビシャァァーン! 机の上でまたムチが炸裂し、派手な音を立てる。


「ほ、本当にそうなんです。それに、宮澤さんも知ってるでしょう、僕がもうラノベを書けない事を」
「掲示板の件だろ? まだ気にしてんのか? 下らない」
「下らなくないですよ、本当に僕、あれで傷ついたんですから」
「単に自分の才能が枯渇した事を掲示板のせいにして逃げてるんじゃねぇのか? あたしはそう思うが」


次々と傷つくような言葉を投げつけられ、とうとう限界に達した僕は両手の拳でテーブルをドカッと叩く。
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