先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「ね、どんな作品書いてるの? 教えて」
「あの……」


ライトノベルを、と言いかけた瞬間、宮澤さんが口を開く。


「ケータイ小説」
「えーっ! ケータイ小説ぅ? あの? 」
「そう、安っぽいお涙頂戴展開のな」


僕がこれから書こうとしているのはそんな作品じゃないのに! と急いで反論を開始する。


「違います、僕はエンターティメント性を持たせた夢のある作品を! 」
「ほぅ、よく言えたな。あんなプロットごときで」
「すみませんね、しょうもないプロットで。分かりました、もう帰りますっ! 訂正する時間が惜しいので! 」


水割りで喉を刺激され、ムカムカした気分のまま席を立ち、店のドアを開けようとした瞬間、僕の目の前に壁が出現した。


壁の色は中央がピンクで両サイドが白、おまけに何かいい香りがする。


「あら? どうしたの? 」


上から降って来る声に顔を上げてみれば、長い金髪を垂らした美青年の顔。
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