先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「み、宮澤さん? 」
「ああ悪い悪い夕べ帰った後、この近くで明け方まで飲んでたんだ。で、出社前にシャワーを借りた」


そんな風に簡単に言うけれど僕は男の1人暮らしで、そんな場所へ来てシャワーを浴びるなんて。


宮澤さんにしてみれば下僕の部屋を自由に使って何が悪い? という女王様の黄金理論なのだろうが。


真っ白なバスタオルの端から覗く白い肌や、少し肉感的な足をボケーッと見ている僕に対して宮澤さんはなんでもない顔でグァバジュースを飲み干すと床へ散らばるスーツを手に取り、


「今から着替えるから、いいと言うまでお前は寝室にひっこんでろ」


と命令を下す。


慌てて寝室へ入り、自分も着替えを済ませて待つ事5分。


「いいぞ」


の言葉に恐る恐るドアを開けてみれば、白いワイシャツに黒のパンツを身に付けた宮澤さんがエプロンをしてキッチンへ立っていた。
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