先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
いつもの黒パンツスーツではないから、ナンパ男に狙われるのも無理は無い。


「離せ! 」
「いいからさぁー、行こうよぉー」


さすがの宮澤さんも一般人を相手にムチを奮う訳には行かないから、腕を引かれるまま。


助けに行こうか、いや相手は僕なんかより強そうで足がすくむ。


チラリと見えたTシャツの腕に見えるタトゥーが怖いし、それにナイフでも持っていたら大変だ。


「ほら、そんなに暴れなくてもいいからさぁ」
「止めろって言ってるだろ! 」


もみ合いながら2人は徐々に駅の出口へ進んでいる、このまま放っておけば僕の宮澤さんが……。


そう思った瞬間、怖さを忘れて僕は2人を目掛けて走っていた。


「宮澤さんを放せっ! 」
「あんだよ、お前」
「神崎! 」




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